■ 私の歩んだ老人医療 その14

 旭川の病院はまだ付き添い体制をとっていました。しかし、すでに当時は介護力強化病院というシステムがありました。それは、介護人員を自前で調達するようにすることで、より良い看護や介護が提供できるとの考えが基礎にあったように覚えています。また、老人の診療報酬としては定額制と出来高制の混在(ケアミックス)が認められていました。しかし、いずれにしても付き添いによる介護体制を継続することは時代の流れに反することに思えました。やはり、医師、看護師、介護者がチームを作り患者様のトータルなケアにあたらねばなりません。付き添いさんはそれなりにいい仕事をしてくれてはいたのですが、チームに入っての仕事にはなりません。彼女たちは派遣会社から給与をもらっているわけです。いろいろな指示も最終的には会社の意向に沿うことになります。また、時々人の変更もあります。ただ、付き添いを廃止するにも時間がかかります。まず、介護者を自前で雇用し、徐々に付き添いさんと入れ替えていきました。その間、やはり予想されたように付き添い制の方を望む患者様もいらっしゃり、何人かは転院されて行きました。毎日ずっとそばに誰かがいるという感覚に慣れていた患者様にとって、そうでなくなることへの不安は理解できます。
付き添いが完全にいなくなり、売店の売り上げが減った反面、水道代やトイレットペーパーの使用量も減りました。何しろ、彼女たちは病院に住み込んでいたのですからそのコストは病院の負担になっていたのです。
私はそこで、介護力強化病院への移行を道庁に申請に行きました。確か数ヶ月の施行期間を経て、許可が下りました。3つの病棟のうち2つを定額制で運用し、ひとつを出来高で運用する、いわゆるケアミックス方式にしました。出来高病棟は比較的医療密度の濃い患者様が入ります。たとえば、中心静脈栄養や経鼻栄養、じょくそう、感染症を繰り返す方々です。比較的症状が軽く、リハビリなどの方は定額病棟です。出来高病棟のほうが医療的に忙しくなるため、看護師に多少の手当をつけてもらったりしました。50人弱の出来高病棟の7割ぐらいは、寝たきりで食事の出来ない患者様でした。
 
 出来高制をとると、いきおいコストを上げることを考えます。私は雇われでしたので、診療報酬が下がるようなことはしたくない気持ちでした。どうしても、薬剤や処置、検査が多くなってきました。付き添いははずしたけれども、医療の内容は旧態依然のままの自分にそろそろ嫌気がさして来ました。独立した暁には、この点を真っ先に改善しようと心に決めました。

2004/06/08(Tue) 16:22